2018年に40年ぶりに改正された相続法で、配偶者居住権と呼ばれる権利が創設されたことはご存じでしょうか。
配偶者居住権とは、残された妻または夫の生活保障のための権利です。
今回は相続を予定されている方に向けて、配偶者居住権とは何か、そのメリットデメリットを詳しくご説明します。
配偶者の財産を相続するときに知っておこう:配偶者居住権とは?
配偶者居住権とは、同居していた配偶者が亡くなった場合に残された配偶者がそのまま無償でその住まいに住み続けられる権利です。
基本的に遺産相続では、マイホームなどの不動産とその他の預金や株などの財産を相続人同士で均等に分ける必要があります。
そのため相続法が改正される前は、配偶者がマイホームを財産として受け取る場合は、バランスを取るためにその他の現金などの財産は受け取れないなどの問題がありました。
遺産相続に不動産の占める割合が高い場合であれば、マイホームを相続した場合、他の相続人に代償金を支払わなければならないケースもありました。
しかし配偶者居住権が創設されたため、配偶者の居住権を確保したうえで他の財産も相続しやすくなりました。
配偶者居住権の権利は自身が亡くなるまで、つまり終身で有効ですが、遺言や遺産分割の協議によって期間設定も可能です。
配偶者居住権が認められるには、相続開始時に同居していたこと、相続人であることの2つの条件があります。
つまり配偶者であっても、別居をしているとこの権利を得ることはできません。
亡くなった配偶者が介護施設などに入居したため別居していた場合や、配偶者が所有する別の建物に住んでいた場合には例外が認められます。
また配偶者居住権は残された配偶者を守るための特別な権利です。
そのため、この権利を他人に売ったり貸し借りしたりすることはできません。
配偶者居住権は2020年4月1日から施行されたので、2020年4月1日以降に発生した相続に適用されます。
相続で配偶者居住権が導入されるメリットデメリット
配偶者居住権を創設した背景には少子高齢化があり、高齢者が安心して自宅に住み続けられるメリットがあります。
配偶者居住権の導入により、自宅不動産(土地・建物)の権利を「居住権」と「負担付き所有権」に分けて、配偶者は居住権を相続することになります。
そのため、これまでのように不動産相続をしたために他の遺産の取り分が減るわけではないので、預金などを相続して生活費を確保しやすくなります。
他の相続人に代償金を支払わなくても良いので、配偶者自身の財産も守ることもできます。
また相続できる財産が自宅のみで相続人が複数いるケースであっても、この権利があれば自宅を追い出される心配もありません。
一方で所有権と居住権を分けることにより、不動産の売却が難しくなるなどのデメリットがあります。
相続トラブルへ発展する恐れもあるので、あらかじめ遺言で財産の分割を明確に決めておくことが大切です。
まとめ
配偶者居住権とは、残された配偶者の生活や財産を保証する、少子高齢化の現代に適応した権利です。
遺産分割によるトラブルを避けるためにも、生前の話し合いや遺言作成も重要です。
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